研究活動報告書第三巻の出版にあたって


 平成13年(2001年)4月に工学院大学に着任し研究室を創設してから,ほぼ14年が過ぎました。私自身も年度末に定年を迎える節目の年になり,7周年記念の第一巻,10周年記念の第二巻に続いて研究活動報告書の第三巻を発刊することになりました。この間,200人余の学生が巣立っていきましたが,彼らの研究の証としての出版でもあります。
 着任から今日までの研究室を振り返ると,設備や資金の不十分な中で研究を工夫し,学生の教育を進める研究室体制の確立を探る日々の創設期,資金に恵まれ,海外交流の拡大や博士研究員を迎えて発展・展開した中間期,そして外国人ポスドク,博士課程学生,企業との産学共同研究の深化,学生の学会発表の受賞の増大と充実した第三期,と経過してきました。研究室の創設時に,当時助手として着任した阿相英孝准教授と,研究室の基本方針・目的は「学生の将来のために」であること,その為には教員が綿密なコミュニケーションを保つことを大切にすることをお互いに確認して,その方針を今日まで継続してきました。また,研究の面白さ,達成感を学生に伝えることが研究室の重要な役割であることの認識の下に,共に教育にあたってきました。対外的な研究成果の公開・発表に対しては,学生であっても世界レベルを標準として指導することも心がけました。この巻の最後に,寄稿された卒業生の声を掲載しています。いずれも率直で読みごたえのあるものですので,是非ご覧ください。
 昨年6月の日経新聞に全上場企業の人事担当者が評価する大学の順位が掲載され,本学が全国の数百の大学の中で,総合ランキングで第14位(私大第4位)という結果が報告されました。側面別ランキングでは,独創性:第5位,対人力:第8位,専門性・仕事力:第9位という素晴らしい結果です。工学院大学の多くの先生が,「これは私の教育努力の結果だ」と思われたでしょうが,私もその一人です。
 最後になりましたが,研究室の今日があるのは,我々を暖かく支援し見守ってくださる多くの方々のお陰であることを肝に銘じ,この節目の機会に深く感謝の意を表したいと存じます。4月からは阿相英孝准教授が研究室を主宰し,新しい伝統を築くことになります。どうぞご支援を頂きますよう,宜しくお願い致します。


木々の開花の美しい季節に


平成27年(2015年)3月
工学院大学 応用化学科 教授
小野 幸子



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